コラム・評論

STAGE YOU BALLET GALA 西優一Produce

ピンクのスカート姿の少女六人が

 とても自然な表情で踊る「行進曲」で幕を開けた  

 「眠れる森の美女」からの抜すいシーンで六人は

 オープニングの大役だった

 そこからパドドゥに移行する。

「アントレ」は少年一人を含む七人だった。

 オーロラ・佐藤音色は金糸をあしらった

 衣装(Aランク)が似合う個性。知的である。

 完ぺきではなかったがくせのない動きがいい。

 王子・大塚卓が美しかった・・・

パ・ド・ドゥ二つが続く

「ラ・フィユ・マル・ガルデ」

 グリーンの衣装(これもAランク)姿の

 リーズ・益子翠侑は体幹がしっかりしている・・・

 加えて踊り心があるからゆらぐことがない。

 指先に”飾り”の自己演出をほどこし

 明るくリズミカルに踊っていた

 山口浩輝は好サポートに加えて

 自らも大きくはねて見せ場をつくった。

 コーダの益子の回転技は

 永遠に続くかと思われた・・・

「パリの炎」もトリコロールカラーをあしらった”制服”とも言える衣装がAランク。

 上質の衣装はダンサーを引き立てる。

 フランス国旗でおなじみの三色を使った衣装はあざやかで、

 登場した二人は思いきりハデだった。

 岡村弥玖は脚力が強く肥田宏哉は力まかせに踊る。

 気迫に満ちた二人は第一部の前半を華麗に結んだ

後半は宝満直也振付「Zi Dan Da」をまず上演した。

 「青春時代のいらだち」をテーマに悩みが多い乙女・少女たちの姿を描く創作。

 彼女たちはどうはばたいていくのだろうか?

 宝満はいい作家だ。

 日常的にクラシックバレエのトレーニングを続けているダンサーたちにとって

 異ったスタイルで踊ることはいい経験になったろう。

「フレスコ」は美しい四人

 阪本絵利奈、佐々木美緒、妹尾弥矢子、根岸茉矢によるアンサンブル。

 宮廷舞踊を思わせ金色に輝いていた。

 「子うま」にまつわる作品からの抜粋。妖精だったのか?

「海賊」はニコニコとほほえんで踊る永沼栄理子と

 実直な印象の井福俊太郎のパ・ド・ドゥ。

 ともに技を強調することなくナチュラルに踊っていた。

 永沼は体力配分に注意したい かな?

第二部 前半はパ・ド・ドゥ三題

「ドン・キホーテ」久富レイ子・山口浩輝。

 日本のダンサーはアダジオ・ヴァリエーション・コーダと全力で踊ることが多い。

 海外から来日したダンサーは前半は適度に踊りコーダに気迫を集中することがある。

 山口はまず久富をすてきに見せるサポートに集中した。

 そしてコーダで思い切り高く跳んだ。

 自分なりのスタイルがカッコいい。

 久富はコマのように回転して拍手をあびた。

 Vaは大峰愛香莉と駒ヶ嶺佳美。

 イエローゴールドの衣装が二人を引き立てていたが技術的には「これから」というところか。

 久富の体幹を見習うといいだろう。

「ラ・バヤデール」

 佐藤礼佳が故障で出場できなくて残念。

 グランドフィナーレでパートナー肥田宏哉に抱かれて顔を見せて少し安心したが・・・

 早く復帰してほしいと願う。

「エスメラルダ」

 衛兵隊長フェビュスがフルール・ド・リという女性との婚約パーティーの中に

 余興として入るパ・ド・ドゥ。

 フェビュスはエスメラルダと愛し合う仲というがそんなこともあるのだろう。

 阪本絵利奈は大塚卓の好サポートできりりと規則正しいステップで美しく踊っている。

 大塚もダイナミックに踊っていた

 タンバリンを手にした川元にこ、佐藤加奈子、土屋小夜子、内藤ゆかり、浜田リエ・・・

 が脇で二人を支えた

「人形の館」は西優一の創作。

 作者自らが「人間の子どもを人形に変えてしまう」という怖い役を演じた。

 両親(山口ひとみ、ミエコ・カマクラ)とフェアリードール(山本佳央)が中心に

 物語が展開。年少組がワルツ人形、兵隊人形など与えられた役をかわいらしく踊っていた

 出演者は文末に・・・

第三部 「パキータ」

 発表会で「パキータ」を上演するのはとても大変だ。

 独特のスタイルがある。

 アンサンブル(コールド)がまずそろわなくてはならない。

 手・脚・全身・顔のむき・・・

 同じ振付で同じタイミング・・・

 コールドには大野亜矢、大野加奈、大峰愛香莉、岡村弥玖、佐藤礼佳、永沼栄理子、益子翠侑の

 名前があるが、タイミングがそろってきりりとしていた。

 華やかに開幕した。

 さてソリストはどうだろう。以下は当日のメモである。

 パ・ド・トロワ・・・

 第一Va川俣陽子、第二Va横野優と過不足ない。

 コーダではずんでいた・・・

 続くVa(加藤里佳)はゆったりと82点。

 さらに続くVa(久富レイ子)も技術的には(?)85点というところ・・・

 エトワール(秋山瑛)はゆったりゆるやかで輝いていた・・・

 この日、最も美しい「華」であった・・・

 びっくりしたのはリュシアン・宝満直也。

 上品で美しかった。

 秋山の回転技が観客の目をとりこにした・・・

☆「人形の館」の人形たちはー

★ワルツ人形=岡悠奈、髙橋千里、宮田愛子、小池都妃、榎本千尋、小池杏都

★兵隊人形=姥谷まちの、片桐あおい、清水ひなた

★チロル=戎田仁奈、藤田香椰、宮野華依楽、山下雪月

★中国=安藤渚、飯田希沙、小山紗瑛

★カンカン=駒ヶ嶺佳美

★ロシア=大野加奈

★フランス=大野亜矢

★日本人形=飯田沙優

★スペイン=益子翠侑

★ピエロ=姥谷龍史朗

2021.6.5

狛江エコルマホール

★sketch 寺村敏

 

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